ブログ
嘔吐反射で歯科治療を受けにくい方へ
嘔吐反射とは、口の中に異物が入った時にオエッとなる吐き気の症状のことを言います。解りやすい言葉で言えば『えづき』です。嘔吐反射の出る原因や症状の強弱には個人差がありますので、第三者には理解し難い症状だと思います。嘔吐反射が強くて歯科治療が辛い患者様が普通の歯科医院を受診して大変苦しい思いや、歯科医師に症状の辛さを理解してもらえなかったことは良くあるでしょう。私共、森田歯科医院は嘔吐反射の患者様の治療を得意としております。治療中は可能な限り嘔吐反射の症状を抑え、リラックスした状態で治療を受けて頂ける様に心がけております。
■静脈内鎮静法で得られる効果
- ① 一番肝心なポイント!嘔吐反射を抑えられます
- ② 不安や恐怖心が軽減されてリラックス出来ます
- ③ 健忘作用があり、時間の経過が短く感じられます
- ④ 緊張でドキドキし過ぎた場合など、血圧・脈拍・呼吸が乱れますが生体モニターで全身を管理するので安定させた状態で治療を受けていただけます
- ⑤ 治療中にパニックになった方も、慌てることなく対応可能です
静脈内鎮静法は腕の静脈より点滴で薬を流し、ウトウトした状態で治療を受けることが可能です。また全身麻酔ではありませんので意識はありますが、薬の作用でリラックスしていただけます。ただし静脈内鎮静法は痛みを取る作用はありませんので、局所麻酔と併用して治療します。イメージ的には静脈内鎮静法はお酒に酔った状態です。嘔吐反射が出ない程度に薬を効かせることがベストです。患者様の中には、歯科治療が苦手で完全に眠らせて欲しいと希望される方もいらっしゃいますが、歯科治療では呼びかけに反応していただく場合がありますので、リラックス出来て、嘔吐反射が出ない程度の鎮静法が最適だと思います。基本的に全身麻酔は使用いたしません。全身麻酔は呼吸の管理が必要になるためです。
私共の歯科医院では普通の歯医者さんに比べると非常に多くの嘔吐反射でお悩みの方々が来院されております。治療以外の普段の生活でも常に嘔吐反射に悩まれている方もいらっしゃいますが、殆どの方の場合は主に歯科治療中に嘔吐反射の症状が強く出ます。歯科治療中はお口を大きく開けた状態が続きやすく、その為に余計に気持ち悪くなる傾向があります。また奥歯の治療の際は器具類や指がお口の奥に入りますので治療を受けられる患者様にとっては苦しいのです。一番嘔吐反射の方が苦手とされているのは、やはり歯型を採る時だと思います。大きなトレーで歯型を採ることは普通の患者様にとっても苦しいのに、嘔吐反射でお悩みの方にとっては大変苦しいのです。歯型を採っている最中に動いてしまったり、オエットなってしまうと正確な歯型が作れなくなり、適合の悪い詰め物や被せ物が出来てしまいます。
以下の際はより強く嘔吐反射が出ます
-
- ■嘔吐反射が出やすい時
- ■奥歯の治療の時
- ■唾液がたまっている状態
- ■歯型を採る時
- ■口を大きく開けた状態が続く時
- ■治療中に唾液を吸われる時
- ■極度に緊張している時
- ■首元にエプロンなどが触って気持ち悪いと感じる時
又、上記以外にも歯科医院に入るだけで気持ちが悪くなったり、臭いで吐き気があらわれてしまう方もいらっしゃいます。この記事を書いている私は嘔吐反射に悩まされたことは無いので本当の辛さはわかりません。ただ多くの患者様を診ていると嘔吐反射の症状を抱えての歯科治療はとても大変だとわかります。
■嘔吐反射の症状を抑える為に歯科医院で出来る事
笑気吸入鎮静法
一般的に笑気麻酔と呼ばれているこのガスは保険適応となります。主に歯科治療中の恐怖心を取り除きリラックスした状態で治療を受けて頂く為にご用意しております。歯科治療における笑気麻酔は低濃度の笑気ガス(30%程度)と高濃度の酸素を混ぜて使用いたします。笑気とは亜酸化窒素の別名です。笑気麻酔はお鼻から笑気ガスと酸素をミックスしたガスを吸って頂きます。お口は開けた状態となりますので、鼻からガスを吸って頂きます。笑気ガスは微かに甘い香りがするガスです。効果は個人差がありますが、普通に治療をするよりは多少の効果があったと言われる方が多いです。ただ、私の個人的意見で言わせて頂くと嘔吐反射の強い患者様にはあまり効果が出ない様に思います。この笑気麻酔は低濃度での使用はとても安全で使用後も直ぐにお帰り頂けます。
では笑気麻酔以外の対処法についてです…
静脈内鎮静法
静脈内鎮静法は静脈より点滴でお薬を投与します。使用前の食事制限がある為、本来は当日の使用は控えております。又、一人の患者様に時間を要す為にあらかじめ必ず来院して頂ける日にちに予約をお願いしています。当医院では静脈内鎮静法は保険外にて行っています。1回に付き32,400円を頂いております。可能な範囲で一度に治療する箇所を増やし、麻酔費用を抑えます。当医院ではインプラント手術の際も必ず使用しております。
嘔吐反射の症状にとても効果があります
嘔吐反射でお悩みの方に一番おすすめしたいのが静脈内鎮静法です。意識をうしなう事はなく使用時もこちらの呼び掛けには反応して頂けます。歯型を採る際もとても楽に採らせて頂いております。
使用の流れ
当日はご自身で運転(自転車や車、バイク)は控えていただきます。
使用前に生体モニターをご用意し、血圧や呼吸、心電図を監視していきます。次に腕の血管からお薬を投与していきます。嘔吐反射の患者様の場合は主に嘔吐反射の症状が出なくなる程度に薬の量を調整していきます。全身麻酔とは異なりますので完全に意識が無くなる事はありませんが人によってはウトウト眠ってしまいます。あまり深く静脈内鎮静法をかけ過ぎると呼吸が浅くなってしまいます。呼吸が浅くなった場合は酸素吸入器を装着させて頂きます。治療中に異変が生じた際も、あらかじめ血管を確保しておりますので点滴より速やかに薬の投与も可能となります。bg全身を管理した上での使用は安全です。また仕様後はお身体の回復を待ち、ぼーっとしている状態やふらつきが無いことなどを確認してからお帰り頂きます。場合によっては少し休んでから帰って頂きます。
静脈内鎮静法は局所麻酔と併用して使用します
静脈内鎮静法では痛みを取ることはできません。よって、局所麻酔と併用する必要があります。点滴でお薬を投与した後に局所麻酔を使用致します。