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妊娠中だからこそ気をつけたい歯周病。そのわけとは?
虫歯よりと多いとされる歯周病ですが、妊娠中は妊娠前に比べ、より歯周病になりやすくなるということを知っていますか?今回は、その理由と歯周病がもたらす妊娠、出産のリスクについてまとめてみました。妊娠中の方、またそうでない方もトラブルの原因にならないようしっかりと把握しておきましょう。
■歯周病は、歯肉炎と歯周炎に分けられる
歯茎の炎症や出血がみられる状態を歯肉炎、歯茎のみならず歯を支える骨にまで影響がみられる状態を歯周炎といい、その2つを総合して歯周病といいます。歯槽膿漏という言葉がありますが、専門用語には存在せず、同じ意味で歯周病と表します。日本人の約8割近くが歯周病であるといわれており、妊娠中では胎児に与える影響が考えられるとされています。
■妊娠中に歯周病が発生しやすくなる理由とは?
1.悪阻(つわり)
妊娠初期から起こることの多い悪阻は、普段の歯磨きでも嘔吐反射が出やすくなります。特に奥歯の内側が磨きづらくなり、歯ブラシの毛先がうまく当たらない状態が続くことで歯周病が発生します。
2.食生活の変化
妊娠中の主な症状のひとつに、食べ物に対する好みや味覚の変化があります。変化が現れないケースもありますが、酸っぱいものを好むようになったり、食べる回数が増えるなど変化がみられる場合は、お口の中が酸性になりやすくなります。酸性の状態が長ければそれだけ虫歯の発生率も上がり、その付近に汚れが付着しやすくなるので、歯周病の発生に繋がるとされています。
3.ホルモンバランスの変化
女性ホルモン(プロゲステロンやエストロゲン)は、歯周病菌が増殖に関与しており、分泌が活発になる妊娠中は、少量の汚れであっても歯茎の炎症が起こりやすくなるとされています。
■妊娠中の歯周病が危険といわれる2つの理由
1.低体重児や早産のリスクが高まる
妊婦が歯周病である場合、健康な状態の場合に比べて低体重児や早産のリスクが約7倍高くなるといわれています。これは、アルコールやタバコの害よりも高い数値であり、子宮収縮作用のあるプロスタグランディンの分泌をサイトカインが促す事が理由となっています。サイトカインは炎症によって増える生理活性物質であることから、歯周病によって過剰増加してしまうと考えられます。
2.体内の血液の汚染
歯周病菌が血液にのって体内に送られると、心筋梗塞や脳梗塞等の原因である血栓が作られやすくなるといわれています。血栓は、どの部位で発生するか分からないものであり、子宮付近で起こる可能性もけしてゼロではありません。
■歯周病の予防・改善に効果的な2つのこと
1.歯磨きの工夫
歯周病が発生する原因は歯と歯茎の境目の汚れであり、いくら歯の上部を丁寧に磨いても歯周病の予防や改善には繋がりません。境目を意識し、歯ブラシの毛先が少し溝にくい込む程度の力で磨きましょう。悪阻による嘔吐反射が出やすいときは、綿棒あるいは小さく丸めたコットンをピンセットなどで掴み、境目を数回なでると良いでしょう。清潔なガーゼを指先に巻いてなでる方法もおすすめです。
2.歯科医院への定期検診
歯周病の発見や経過のチェックにはレントゲン撮影が有効ですが、妊娠中である場合はそれは行えない為、歯周病検査用の器具を使って調べます。クリーニングやご自宅でおこなうお手入れ方法の見直しも含め、定期的に歯科医院でチェックを受けるようにしましょう。