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骨が少なくても骨造成手術でインプラント治療が可能に
インプラント治療の必須条件として、顎の骨の量があります。顎骨の量とは、骨の厚みと骨の高さの事を指しています。今回は、顎骨を増やす骨造成手術について詳しくまとめてみました。インプラントは出来ないと言われたけれど諦めたくない、インプラントをご検討中の方は、是非参考にして頂ければと思います。
■骨造成手術とは?
骨造成手術とは、歯周病や虫歯が原因で部分的、または全体的に顎骨が減ってしまった場合に、顎骨を増やす目的でおこなう処置です。インプラント本体を埋め込むためには、最低10mmの骨の高さが必要とされており、それ以下であれば他の組織を傷つける恐れがあり大変危険です。インプラントは出来るだけ長く太いほうが長持ちします。
一般的なパノラマレントゲン写真で顎骨全体を把握することはできます。インプラント治療の場合、最も重要なことは、どの位の骨量があるかになります。一般的な歯科医院で撮影するお口全体が写るレントゲン写真をパノラマレントゲンと呼びますが、まず、パノラマレントゲンを撮り、必要であればCTの撮影をします。CT撮影は必ずしも必要とは限りません。パノラマレントゲンで十分な骨量が確認できればCTは必要ではありません。
骨造成手術には「サイナスリフト」「ソケットリフト」「GBR法」があり、顎骨の位置や状態によってどちらの処置をおこなうかを決めます。それぞれの特徴や手順、費用を詳しくみていきましょう。
■骨造成手術① サイナスリフト
サイナスリフトとは、上顎のみを対象とした処置で、奥歯部分の顎骨の高さが5mm以下である場合、または多数の欠損歯がある場合におこないます。
上顎付近に存在する上顎洞と呼ばれる穴は、別名「副鼻腔」ともよばれ、蓄膿症になると膿が溜まる場所のことを指しますが、サイナスリフトでは、その上顎洞への骨移植をおこないます。
埋める人工骨の量に大きな制限がないことから、広範囲での処置が可能となります。
1.サイナスリフトの手順
- ①麻酔をしっかり効かせ、主に下顎のオトガイ部より骨を採取します。オトガイとは下唇の真下の顎の骨です。
- ②次に、歯を失った部分に位置する横の歯茎を切開します。顎骨を露出させて穴を開け、顎骨に付着している上顎洞粘膜を丁寧に剥がしていきます。(上顎洞粘膜が破れると、蓄膿症を発生する恐れがあるため注意が必要です。)
- ③顎骨と上顎洞粘膜の間にできた隙間に、オトガイより採取した自家骨と人工骨を埋めます。
- ④切開した部位を縫合します。
- ⑤最後にレントゲン写真で確認し、問題がなければ処置が終了となります。人工骨が顎骨になるまでの約4ヶ月は、特別な処置はおこないません。
2.サイナスリフトの費用
サイナスリフトは保険適用外であり、1箇所あたり約15万円~30万円です。(保険適用外の処置は、歯科医院によって費用に差があります。)
■骨造成手術② ソケットリフト
真横からおこなうサイナスリフトとは違い、ソケットリフトの場合は歯があった部分、または抜歯した後にできる穴から処置を行うため、外科的負担が少なく済みます。
処置時間が短く、痛みや腫れがほとんどありません。同時にインプラント本体を埋め込むことができるので、サイナスリフトに比べて総合的に時間が短縮されます。
1.ソケットリフトの手順
- ①麻酔をおこない、歯を失った部分の歯茎を切開します。専用のドリルを使って顎骨に穴を開けてゆきます。
- ②1mm程度の厚みを残した段階でドリルの使用を止め、上顎洞粘膜を傷つけないよう手動の道具で残りの厚みを除去します。
- ③顎骨と上顎洞粘膜の間にできた隙間に、人工骨を埋めます。
- ④インプラント治療をおこなう場合は、このタイミングでインプラント本体も埋め込みます。
- ⑤約4ヶ月待ち、インプラント本体と顎骨の接着が確認できたら人工歯を被せて完成となります。
2.ソケットリフトの費用
サイナスリフト同様、保険適用外となります。1箇所あたり約3万円~10万円となり、インプラント代が別途必要になります。
■骨造成手術③ GBR法
GBR法とは、顎骨が失われた部位に人工骨を盛り、特殊な膜(メンブレン)で覆って骨の再生をはかる方法です。サイナスリフトやソケットリフトとは違い下顎にも適応されますが、顎骨の再生までには約4ヶ月~6ヶ月かかり、顎骨の減少が大きいケースではインプラント本体の埋め込みが同時にはおこなえません。相場は、約3万円~15万円です。
今日も最後まで読んで下さりありがとうございます。さいたま市大宮区の森田歯科医院は、外科を得意としている歯科医院です。